Era of Suiseisha水星社の時代
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Era of Suiseisha
御縁を頂いて、(水星社)のプロデュースを、正式にお引き受けしました。
話を最初に頂いた時から、私は身が引き締まる思いがしています。
(水星社)…この音楽出版社の楽譜集の世話にならなかった日本のシャンソン歌手やカンツォーネ歌手はまずいない。
社長だった木下美智子(表紙)。彼女は、1950年代の中頃から積極的にたった一人で、ヨーロッパに出かけました。そして沢山の名曲を買い付け、楽譜を印刷するだけだった音楽出版社に著作権管理の概念を持ち込み、尻込みしていたJASRACをリードして1959年に日本で初めて信託第1号として著作権管理出版社(サブ・パブリッシャー)を誕生させました。
彼女がいなかったら、JASRACの信託部開設は、ずっと遅れただろうと聞いています。
1950年代の中頃の日本にはそれほど洋楽がはいっていなかった。
外貨の持ち出しも厳しい制限があった時代、単身で、パリやミラノの出版社と交渉して多くの楽曲を持ち帰った…その苦労と努力をほとんどの人は知らないけれど、歌手にとって、いや日本の文化にとって、絶対にもっと知らしめるべき存在だと私は確信しています。

彼女は、御主人が作曲家の木下忠司、義兄が木下惠介。
日本の映画界のトップランクの人々に囲まれて、映像の企画製作プロデューサーとしても、八面六臂の活躍をしました。
時代ということもありますが、水星社の楽曲には、映画主題歌が多い。
ここずっと、もう誰も歌う人がいない映画主題歌をコツコツ歌ってきた自分としては、
改めてそのもとになった楽曲を、木下美智子が持ち帰ったのだと知って感動しています。
とにかく、まずフランスを筆頭とするイタリア、ドイツなどヨーロッパ映画の名作主題歌群!加えてアメリカ、イギリスからブラジルまで、それこそ世界中の名映画の主題曲が目白押しです。
別枠でサンレモ音楽祭からのカンツォーネ、ユーロビジョンコンテストの優勝曲…今ではすっかりスタンダードになった名曲群も見逃せない。
同時に、NHK(みんなのうた)にも大きく関わり楽譜集も沢山出しています。それには東映が製作した日本アニメの金字塔「白蛇伝」(1958)も含まれていて幅の広さに恐れ入ります。

本当に光栄な仕事だけど、彼女が、マスコミの仕事以外にも、拘りの食や化粧品の事業までこなしていた事を知り、あまりのスケールの大きさに驚愕してどこから取り掛かるか逡巡する自分がいます。
取り敢えず、私は水星社の管理楽曲リストを参照しながら、日本に確かにあったシャンソン文化を確認してみたい。それが彼女の活動の根っこだと思うからです。
NOTE(ブログ)では、本とは一味違うパイロット版的アプローチが出来たらと思っています。水星社の現在のリスト以外にも、最初に買い付けて、権利が他社に移行した作品も積極的に書いてみたい。なぜなら、それらの選曲には彼女の美学が垣間見られるからです。
日本のシャンソンの歴史にも当然触れることになりますが、水星社と木下美智子の存在が、私の重い腰を引っ張りあげてくれました。
皆様、おたのしみに、そしてどうぞよろしく応援してください。
